西尾章治郎

連携施策群コーディネーター/主監 西尾章治郎からのメッセージ

西尾 章治郎
連携施策群
コーディネーター/主監
大阪大学理事・副学長

総合科学技術会議 科学技術連携施策群「情報の巨大集積化と利活用基盤技術開発」連携群(以下「情報利活用連携群」という。)についてご紹介させていただきます。


情報利活用連携群は、Web上および非Web上にある大量かつ多様なデジタル情報空間から信頼できる情報のみを、簡便、的確、かつ安心して収集、分析、利用できる次世代の知的情報アクセス基盤技術の実現を目標とし、平成19年度から活動を開始しました。また、本連携群では、知財や個人情報等、情報利活用の促進を阻む諸問題に対する検討も行い、研究開発成果の効果的かつ効率的な普及、展開が可能となるよう政策的提言も行ってまいります。


現在、以下の施策について、研究開発成果の公開、共有、相互利用等を将来的に図ることにより、新たな産業につながるイノベーションを生み出すべく、関係府省の連携を強力に推進しています。


1.「情報大航海プロジェクト」:経済産業省


2.「電気通信サービスにおける情報信憑性検証技術等に関する研究開発」:総務省


3.「革新的実行原理に基づく超高性能データベース基盤ソフトウェアの開発」:文部科学省


さらに、これらを十分カバーしきれない研究開発要素を補完し、各施策の成果の連携を促進することにより、我が国の情報利活用基盤技術をより拡大させる観点から、次の施策を推進しています。


4.補完的課題「センサ情報の社会利用のためのコンテンツ化」:研究代表機関 京都大学


これまでの活動により、以下に示すように、数多くの成果が出てきております。詳細は、各施策のHPをご覧下さい(※)。


■情報大航海プロジェクト
次世代検索・解析技術における共通技術として個人情報匿名化技術等50を越える最先端技術の開発が完了し、その活用事例は100を超えております。また、これら共通技術の標準化活動等により国際的な技術活用の拡大についても推進しています。


■情報信憑性検証技術
「重要かつ信憑性の高いブログに、より容易に、より速く到達する」ことを目的としたマニア/ファン指向ランキングを有するブログサーチエンジンの実証実験サイトを公開しております。


■超高性能データベース基盤ソフトウェア
既存の商用データベースやオープンソースと比較して20倍を超える性能向上を達成しております(最終的には100倍の性能向上を達成予定)。


■センサ情報の社会利用のためのコンテンツ化
センサ情報をWeb上で利活用可能とするセンシングWeb技術を開発し、公共環境での実験場所を7月より開始しています。これまでに各種メディアに多数掲載される等、高い関心を得ております。


さらに、上記の研究開発成果の実証、公開はもとより、制度環境の整備に向けた取組みも実施しており、これまでに、個人情報保護、著作権、不正競争防止等の観点からの、制度改正に向けたアクションプラン策定と著作権法改正における意見だし等による寄与をしております。
今後とも、本連携群の成果を日本から世界に発信し、我が国の情報利活用基盤技術における研究開発の先導役を務めていきたいと思います。


※ 各施策の内容は、各施策をクリックしていただくと、研究委託を行っている機関等が作成している研究紹介Webサイトにリンクされ、ご覧いただけるようになっております。具体的には、経済産業省「情報大航海プロジェクト」は情報大航海、総務省「情報信憑性検証技術」は独立行政法人情報通信研究機構 (NICT),文部科学省「超高性能データベース基盤ソフトウェア開発」は、東京大学の各Webサイトにリンクしております。